chilican's diary

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フランク・ザッパ誕生日記念アルバム(2014年)

 フランク・ザッパの誕生日を記念する音楽配信アルバムシリーズ、Anything Anytime Anywhere For No Reason At All(AAAFNAA)が今年もリリースされました。

 公式情報はzappa.comの新着情報、2014年12月21日の項にあります。


Zappa.com > What's New?- 2014 Anything Anytime Anywhere For No Reason At All (21 December 2014)

このシリーズも今年で6作目。前作まではiTunes Storeで売っていたのですが、今回はザッパ公式サイトでの販売です。音楽3曲(FLAC形式)とビデオ1本のセットで7ドルです。ばら売りもしていますが、セットで買うほうが安い。購入したので内容の詳細を書いておきます(ツイッターのつぶやきの再構成です)。

1. Down In De Dew - Alternate Mix
Frank Zappa - Guitars, Bass
Jim Gordon - Drums

 初出は2014年のレコード・ストア・デイに発売されたDon’t Eat The Yellow Snowの7インチシングル。
 1972,73年録音。『レザー』(1996)収録曲の別編集、別ミックス。
 『レザー』は曲の間におしゃべりや短いジングルを入れたアルバムで、このトラックにはそれらがないのだが、その編集にとどまらず、曲自体が十数秒長くなっている。聞いた印象は結構違いが大きいです。

2. Freak Chouflee’
Frank Zappa - Guitar
Del Casher - Guitar
Don Preston - Keys
Roy Estrada - Bass
Billy Mundi - Drums
Jimmy Carl Black - Drums

未発表曲で、本作が初出。
66年ごろのライブ録音(録音日時と場所は不詳)。
 マザーズ・オブ・インベンションにはいろんなミュージシャンが出入りしていたのだけれど、この録音にはギターでデル・キャッシャーが加わっている。この編成のマザーズ、ぼくは初めて聴きました。キャッシャーはエレキギターのワウワウ・エフェクターを足踏みペダルにするのを考案した人物で、ザッパとの共演はステージ写真が公開されていたのだけれど、ついに音源も発表されたわけだ。ザッパとの写真やキャッシャーのワウワウ・ペダル以外の活動は下のサイトで見られる。

Del Casher-More Than Just The Wah Wah | Jack's Guitar Lessons

  "Freak Chouflee’"は初期マザーズの呼び物、ライブでの長いソロ演奏部分を抜粋した曲で、ほかのアルバムでいうなら、時期的にも内容的にもFiner Moments (2012)に近い。編集等はザッパ家「倉庫マイスター」ジョー・トラヴァースの手になるもの。録音マニアだったザッパなら、いまだに明らかになっていないミュージシャンとの共演が倉庫に眠っているのは不思議ではないけれども、60年代半ばのライブ音源とは思えないほど音がよくて、二人のギターをじっくり堪能できます。熱い!

3. Uncle Meat/Uncle Meat Variations
3NSAMBL3 (Fernando Mariña, Guillermo González Phillips & Jesús Serrano) - Guitars
 3NSAMBL3(アンサンブルと読むと思われる)はメキシコのクラシック・ギター・トリオ。フェイスブックではほかの曲を聴ける。投稿はスペイン語らしくて、僕は読めないんですけど。

3NSAMBL3 | Facebook

 ザッパカバーでは定番の"Uncle Meat"だけれど、やっぱりいい曲。演奏うまい。

4. RDNZL Palermo, 1982
Frank Zappa - Guitar, Conductor
Band:
Ray White - Guitar
Tommy Mars - Keyboards
Chad Wackerman - Drums
Scott Thunes - Bass
Ed Mann - Percussion
Bobby Martin - Keyboards, Sax
Steve Vai - Guitar

 これはビデオです。1.16GBとずいぶん大きなデータでの販売です。mp4形式で、iTunesでもWMPでもそのまま再生できました。
 「呪いのビデオ (Video Omen)」だってさ。わはは。
 82年のイタリア、パレルモ公演といえば、怒りのハエタタキですよ!暴動ですよ!*1
 けれども、そんな気配はみじんもなく、安定の82年バンドをバックに、フランクはソロを決め、トミー・マーズとエド・マンがソロ弾いてる間、タバコを吸っています!

 以上4曲、結構マニアックなセットだと思うけど(歌ものは入ってないし。……でも、微妙なカバー歌唱を聴くよりは器楽曲に的を絞るほうがずっと楽しい)、おおいに楽しめると思います。

 

Man from Utopia

Man from Utopia

 

 

*1:82年の欧州ツアーはトラブル続きで、ミラノではステージで蚊に悩まされ、ジェノヴァではステージに物を投げ込まれ(You Can't Do That On Stage Anymore, Vol.5でその時の様子が聞ける)、パレルモでは会場に催涙弾が撃ち込まれる始末。そうしたもろもろが、『ハエハエカカカ・ザッパッパ』(The Man From Utopia)のジャケットになった。