chilican's diary

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Dave Holland Quintet - Prime Directive (Live) (iTunes Store限定)

またデイヴ・ホランドの話。

例のクリス・ポッター入りクインテットECMホランド自身のDare2レコーズからいろいろ出しているのだけれど、配信限定リリースとして、2007年のライヴアルバムが出ていることは以前書いた。
これはDare2の直販という形なのだけれど、iTSのみのライヴアルバムというのも出ているのだ。「アルバム」という分類にはなっているのだが、2000年に録音された"Prime Directive"1曲しかない。18分の長尺が一曲なので、分量的にはポップスのシングルか、いいとこEPだ。"Prime Directive"はECMからのExtended Playにもライヴで入ってるし、別にいいかなー、と思って軽視していたのだけれど、実はひとしれずひっそりとリリースされて広大なネットにうずもれるのはもったいないものであった。

しかし、別にいいかなーとかいっている割に気にはなっていたのだ。
一応iTSでは試聴が可能なのだが、たったの30秒。
そもそも、18分ものジャズの演奏を30秒の試聴で買うかどうか決めるのはちょっと厳しいし、何よりネット上に購入者の感想も見当たらない。散々検索して見つけたのは、Jazzcorner.comのスレッドがたった一つである。
http://speakeasy.jazzcorner.com/speakeasy/showthread.php?t=15072
この存在感の薄さは"Prime Directive"というタイトルにも原因があるだろう。ECMから出たアルバムと同名なので、そっちばっかり引っかかるんだよね。

内容的には、イントロのホランドのソロが長いこと、ポッターがアルトサックスを吹いていること、ドラムがネイト・スミスになっているところがポイントである。
Extended Playではポッターとロビン・ユーバンクスの掛け合いが実にスリリングなのだが、このライヴではポッターが主役に回って、ユーバンクスはどちらかというと支える側に回っている。あくまで、どちらかというと、であって、この二人のデュエットなのだから、同時にソロをとっているようなものではあるのだが。ポッターのアルトは非常に饒舌である。饒舌なだけじゃなくて、つややかで色っぽい音。テナー/ソプラノがメインの人の持ち替え楽器とは思えない。……と思ったら、ポッターさん、アルトからはじめて(これはクラシック、吹奏楽系の人は普通なようですが)、アルトの録音も結構たくさんある。失礼いたしました。

1曲で600円の価値はあったか?
音楽は量り売りじゃないし、フォーマットごとの囲い込み作戦なんてけちくさいが、これは金だして聞くだけの価値はある演奏であった。

http://itunes.apple.com/jp/album/prime-directive-live/id43503095
iTSのURLはこれ(iTunesが開きます)。