chilican's diary

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キース・ジャレットの使ったチェンバロ

チェンバロ:壊した市民楽団に440万円賠償命令毎日新聞

国際的に有名なチェンバロ製作者、高橋辰郎さん(56)と演奏家の妻尚子さん(56)=東京都江戸川区=が、ずさんな扱いでチェンバロを壊されたとして、江戸川区の市民楽団「江戸川フィルハーモニーオーケストラ」と団員に880万円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁は10日、440万円の支払いを命じた。
(中略)
破損したのは辰郎さんが86年に製作したチェンバロ。(中略)89年に同型のチェンバロを米国のジャズピアニスト、キース・ジャレットさんに400万円で売った

この壊されたチェンバロはキースが88年にゴルトベルク変奏曲を演奏した楽器ですね。
八ヶ岳高原音楽堂でアルバム用の録音とコンサートを開いたという。裁判ではキースに売ったものから価値を算出したようですが、件の楽器は同型でも材質が違い、89年当時で同じものは作れないから、他の材質で作ったものを譲ったそうです。有名な演奏家に使ってもらうって言うことで価格はおまけも加わっているだろうし、440万ではとうてい賠償にならないだろうな。

キースのゴルトベルクはピアノでの即興演奏から連想される彼の癖はなくて、つまんないジャズ風バッハ(ジャズ+バッハはさ、ジョン・ルイスとMJQ以外は別に聴かなくていいんじゃないかな。)とは違うものになっています。正統的というか、ぼくの場合、チェンバロで聴くゴルトベルクの基準はキースの録音だったりします。チェンバロの繊細な音色がさわやか。

お気に入りの録音の「主役」がこんなことになってたとは……。
事件自体は2年前ですけどね。