『ひつじのショーン〜バック・トゥ・ザ・ホーム〜』
先日、映画『ひつじのショーン〜バック・トゥ・ザ・ホーム〜』を見た。
見た後でツイッターで少々つぶやいたのだが、ツイッターの性質上、後からトピックだけ見返すのが骨なので、ブログにも感想をのせておく。
牧場で毎日決まった暮らしを送るひつじのショーンと仲間たちは、牧場主を眠らせてバカンスを楽しもうとするのだが、眠った牧場主をのせたままトレーラーは大きな街に行ってしまう。牧場主抜きでは食事もままならない動物たち。ショーンと羊たちは牧場主を探しに街へ向かう。なんと、やっと見つけた牧場主は記憶喪失になっていた!はたしてショーンたちは元の暮らしに戻ることができるのか……。
この映画は同名のテレビアニメ(クレイ・アニメーション)の映画化で、テレビ版は日本のEテレでも放送されている。キャラクターの姿かたちがかわいらしく、筋書きがシンプルで、セリフがなく動きだけでストーリーを伝え、笑わせるこのシリーズは大変洗練されている。ぼくはなんとかかんとか時間を作って、毎週のように見ているが飽きない。動物はおろか人間も、テレビの前の人間にわかる言葉を話さない点は映画でも踏襲されている。したがって普段テレビでおなじみの観客にとっても、いつもの『ひつじのショーン』を見ている気分で映画の世界に入っていけるのだ。羊たちが牧場のおじさんを眠らせて、おじさんをのせたままトレーラーが動いてしまい、牧羊犬のビッツァーが慌てて追いかけていくくだりは、そこまでのお話としてテレビ版にあってもおかしくないエピソードだ。いつものショーンから大冒険につながっていくので、見ていてわくわくしっぱなしだったよ。
テレビ版に親しんでいるぼくにとって驚きだったのは、ショーンたちの農場と、大きな街が予告編やテレビで見るよりも近かったところである。テレビでは牧場のおじさんはしょっちゅう買い物や通販をするし、ピザのデリバリーもやってくる。でもテレビに出てくる街はそれほど都会だという描写はなかった。たぶん大都会の郊外のちょっとした商業地区がテレビに出てくるあたりで、牧場はそこからさらに離れた田園地帯なのだろう。個人的感覚では、ショーンの農場は結構都会に近くて便利なところにある。ぼくは地域の中心都市から山ひとつふたつ離れたところで育ったので……(映画でたとえるなら、80年代に『スタンド・バイ・ミー』の世界で育ったようなものだ)。
テレビ版とは大きく違う演出は挿入歌を場面やキャラクターの心情を伝えるために多用しているところだが、音楽はとてもうまく使われていた。
『ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム』はテレビ版見たことある人は知っている通り、人間も動物も観客に判る言葉を一切しゃべりません。そのかわり挿入歌の歌詞がわかるかどうかが「しゃべる映画」よりも大きく影響すると思った。はっきりと場面場面を補完しています。
— けむ (@chilican_tw) 2015, 7月 29
文字で示される英語には日本語の字幕が付けられていましたが、挿入歌の歌詞には日本語の字幕が付かない。あえて強調しないことにしたのかどうかわからないけど(たぶん、そうしたのだと思う。挿入歌の歌詞がわからなくても楽しむうえで不足はなかったようだ)、英語の歌詞がわかると楽しみが増えます。
— けむ (@chilican_tw) 2015, 7月 29
映画を見た後でぼくは上記のツイートをしたのだが、Foo Fightersの"Home"の使い方は直球だった。ぼくはこの曲が流れるシーンで涙ぐんでしまった。鼻をぐずぐず言わせてたのはぼく一人だったけどな!歌詞が聞き取れると、うるうるが五割増くらいになるんじゃないだろうか。
ありもののポップス以外では何といっても、ひつじたちの歌う「バーバーショップ・コーラス」が泣かせるのと同時にダジャレになっていて印象に残る。ひつじは英語では”Baa”って鳴くのよね。