Andy Sheppard / Movements In Colour
Andy Sheppard / Movements In Colour(ECM 2062)
カーラ・ブレイのバンドのサックス奏者のアルバムはツインギターにベースにタブラという変則的なリズムセクション。 中年音楽狂さんの日記、910さんのジャズCDの個人ページBlogでも取り上げられていて、どちらもなかなか高い評価をされている。 実はこの高評価を見て試聴し、買ったのだが、正直に言って、カーラ・ブレイのディレクションの元で演奏しているシェパードしか知らないので、どんなことをリーダー作でやるのやらまったくわからなかった。そこでのシェパードの演奏が悪いとかじゃない。カーラ・ブレイとやっているミュージシャンはたいてい、その人のキャラクターがそのまま出るかでないか、どちらかにはっきり分かれる演奏/アレンジになっているのだ。*1
で、コンボ(ロスト・コーズ)であってもシェパードの演奏はカーラ・ブレイのパレットの中にいるようにぼくには聞こえる。それでいいんだけど、リーダー作だといわれても、どうにもカーラ・ブレイ風以外の音楽は想像しにくい。高評価はあれど、アイヴィン・オールセットとアリルド・アンデルセンがいなくて、ECMじゃなかったら、まず聞いていなかったアルバムだ。
そこにきてツインギターにタブラだって?
チャールズ・ロイドみたいに、インド/スピリチュアル方面に走るか、それともオールセットとアンデルセンの参加でエレクトリックジャズ(ちょっとオリエンタル風味)に行くかと思っていたら、まあ、それらの雰囲気もあるのだけれど、ほかのECM作品で思い浮かべたのはパット・メセニーの80/81だったりします。サックスのフリーク・トーンからちょっと薄暗いテーマに入り、John Parricelliがアコースティック・ギターの哀感たっぷりなソロで聞かせる最初の曲は別として、あとは意外とフォーキーかつさわやか。たたき過ぎないタブラがこの適温感を出していると思う。燃えすぎてはこの味は出ない。
パステルカラーで穏やかなサックスはカーラ・ブレイのときとそれほど変わっていない。 もともとこういう持ち味の人なのだろう。 フレーズ自体は浮遊しているのに安定感のあるアンデルセンのベースはいつもの通り良いですし、ロック系の泣きソロこそあまりとらないものの、エフェクトやエレクトロニクスを多用するオールセットの、薄く広がる感じと、John Parricelliの分散和音やはっきりとしたトーンがきちんと役割分担しているのを聞き比べるのも、アンサンブルとしてのまとまりを聞くのも楽しいです。 これは思わぬ収穫という感じで気に入った一枚だ。