chilican's diary

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Roscoe Mitchell / Composition/Improvisation Nos. 1, 2 & 3

Roscoe Mitchell / Composition/Improvisation Nos. 1, 2 & 3 (ECM 1872, 2007)

 アート・アンサンブル・オブ・シカゴのリード奏者、ロスコー・ミッチェルがイギリスの即興サックス奏者エヴァン・パーカーと組織した大編成のフリージャズ・現代音楽グループThe Transatlantic Art Ensembleの、ミッチェル曲を集めたアルバムComposition / Improvisation Nos. 1, 2 & 3(ECM 1872, 2007。録音は2004年)に浸った。
 「作曲/即興」という題名の通りに作曲と即興が混在、あるいはどちらか一方に推移して行く曲が三つ、計9パートを、それも第1番から順番ではなく、それぞれの曲の部分を組み合わせて並べてある。 作曲された箇所と思われる部分など、いわゆる現代音楽的な不協和音やクラスター、執拗なロングトーンなどが目立つのだが、トータルセリエリズムほど硬くもなく、ベルクのような哀感のあるきっちり感であるし、エヴァン・パーカーのテナーソロはジャズ的に格好良く、ロスコー・ミッチェルのソプラノサックス、Neil Metcalfeのフルートソロなど非常に一般的な意味で美しい。 弦楽器(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロにコントラバス×2)はどちらかというと現代音楽的な要素を提供しているけれども、チェロとコントラバス×2のロングトーンや細かい動きは武満徹の「テクスチュアズ」や高橋悠治の「オルフィカ」にちかい怖さがあります。この手の複数のレイヤーが重なるような音楽が好きな人はきっと気に入る。 ロスコー・ミッチェルは外れなしだけど、エヴァン・パーカーは物理的に肉体に厳しい音楽を出すことがあるから、どうしようかな、と思っていたんですが、アマゾンのECM980円祭りのときに、値段の安さに背中を押されて買ったら実にぼく好みの現代曲/即興音楽だったというラッキーな一枚。
 パーカーの作曲を集めた同時録音のアルバムBoustrophedon (Evan Parker Transatlantic Art Ensemble名義。2008, ECM)もあるがそっちはまだ聞いていない。 パーカーは新作The Moment's Energyが出ちゃったし。フリーインプロ畑の人はCD出しすぎだよ。 大友良英作品でぼくにとってはおなじみの笙奏者、石川高が参加しているし、さわりだけ聞いたら結構面白そうなので買いましたけどね。

 

Composition / Improvisations 1 2 & 3 (Ocrd)

Composition / Improvisations 1 2 & 3 (Ocrd)