8月最終週に読んだ本:イーグルトン、オースター

 前回の日記から1週間たった。あれから読んだ本をメモしておく。

  •   テリー・イーグルトン著、大橋洋一訳『文学とは何か―― 現代批評理論への招待 ―― (上)』(岩波文庫、2014)

 イーグルトンの文学理論入門である『文学とは何か』が文庫化された。2008年の『25周年記念版』の翻訳。18世紀以来の文学批評の諸方法と思想を 紹介、批判してゆく。上巻で扱われているのは19世紀、国語教育、英文学批評が教育科目として成立した時代から、1970年代のイギリスでの構造主義文学 理論の受容まで。

文学とは何か――現代批評理論への招待(上) (岩波文庫)

文学とは何か――現代批評理論への招待(上) (岩波文庫)

 

 

  好きな作家なので「ふと思い立って本の途中から読む」のを繰り返しているのだが、Invisibleを読み終えた勢いで、『オラクル・ナイト』を再読した。

  長らく英語で読んでいて、邦訳は文庫になったら買おうか、と思っていたのだけど、勢いがついていたもので、日本語訳のハードカバーをついついレジに持って いった。原書は出たときに買ったのだが、ちょうどそのころはものすごく身体の調子が悪くて(翌年には文字通り病床につくはめになった)、何をしていたの か、日々の暮らしのことがほとんど記憶にない(インターネットとは便利なもので、本人がおぼえていない記憶も一部記録している。アマゾンの履歴を見ると、 ぼくは出版された直後の2003年12月にこの本を買ったようだ。)。

 オースターお得意の物語内物語が互いに呼応してゆく不思議を楽しむ もよし、愛する人の謎の行動に直面する登場人物たちの心情に寄り添うもよし(ぼくはこの 辺の男女の機微はあんまりぴんと来ないのだが)。ぼく自身はシドニーがちょっとずつ街の中に出てゆけるようになる、散歩の部分が非常に好きである。『ガラ スの街』や『幽霊たち』での散歩の変奏として読んでいるふしもあるように思う。それらの作品とは反対にばらばらになった肉体と気もそぞろな心を再び組み立 ててゆく、汗だくの労苦。大病から生還した作家シドニーが回復する最初の数歩を描いたこの物語を、ぼくは一種自分が回復するための支えのように読んだ。美 しい青の装丁もよい(Henry & Holt Co.の原書ハードカバーも、新潮社の邦訳ハードカバーもどちらも美しい青だ)。

オラクル・ナイト

オラクル・ナイト