chilican's diary

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Penguin In Bondage / The Little Known History of the Mothers of Invention - EP

フランク・ザッパ2011年最初のリリースです。
iTunes Store限定で「母の日」記念EP Penguin In Bondage / The Little Known History of the Mothers of Invention なるものが出ました。

iTunes Storeへのリンク
zappa.com内のクレジット

Roxy & Elsewhere収録の"Penguin In Bondage"の一部は1974年5月11日のライヴなのですが(IINK参照)、今回出たのは、その前日のライブ(74年5月10日「母の日」、シカゴ)。
ギターにジェフ・シモンズが入っている日なので、、パーカッションのルース姉さんはいません。
編集はFZ自身で、おそらくROXYアルバムのアウトテイク。ミックスは今年行われたもので、音質面でもまったく問題なく聞けます。
ペンギンのあと、ゆるいジャムをバックにザッパの昔話&バカ話が続きます。Roxyでは聞けなかったジェフ・シモンズのハーモニカは新味。26分の長丁場なので、FZのギターソロにジョージ・デュークのファンキーなキーボードとドン・プレストンのへんてこなキーボードのコントラスト、と、この時期の定番シーンもしっかり。それにしてもジョージ・デュークとトムファウラーのベースの組み合わせは気持ちよいですね。ずっとこのノリでゆらゆらしていたいよ。
アルバムに入っていてもおかしくないのだけど、ペンギンが7分40秒あまり、後はブルースのジャムに乗せてのおしゃべりが18分ほど。これでアナログの片面と考えると、おしゃべりはほどほどにして(演奏も複数ソースを使って)、もっとたくさん曲を入れよう、という判断が下されたのではないか。
少なくともこのテイクのようなおしゃべりのほうが長いものが入っていたら、ROXYの濃密で過激な雰囲気はずいぶん変わっていただろう。

これはROXYもっと聴かせろ、という多くのファンの要望にこたえるよい企画。
これまで出た配信限定アイテムの中ではいちばんいいんじゃないかな。
まず、「Beat The Boots 3」シリーズとちがって音がよい。
さらに、誕生日アルバムAnything Anytime Anywhere For No Reason At Allシリーズとちがって、子ザッパたちのカバーとの抱き合わせもない。
(→第三弾については過去記事「The Frank Zappa aaafnraaaa Birthday Bundle」(1月13日)参照)。

かつてzappa.comではRoxy & Elsewhereの映像版trailer(こっちはルースのいる、LAのクラブRoxyでの演奏)が公開されていましたが、いつの間にか見られなくなってしまったので、今回の配信は73/74年バンドのファンには堪えられないでしょう。まあ、ザッパファンの大多数にとって、といってよいと思いますが。

その分、「可逆圧縮で出してるBarfko-Swill公式配信で売れ」「いやいやCDで出せ」との声が出るのは必至のリリースでもあります。
これがROXYの続編、または映像リリースの前触れであればいいんだけどねえ……。