chilican's diary

読んだ本や聞いた音楽の話をします。

2010年のベスト3

もっぱら今年はブログ以外のツールで遊ぶことが多くて(今年はじめたのはツイッターだけですが)、ブログはツイッターのログ置き場になってしまいました。最初はツイッターの投稿をまとめてなんか別に書くつもりだったんだけどな。
 
さてさて、「今年聞いたアルバム、まとめ」(12月16日)に今年買った新譜についてはまとめたのですが、旧譜を含めて特に印象深かったものを書いてみます。

<New Disc>

新作はこの3枚。
モチアンはトリオなんだけど、ホランドとロスコーのアルバムはどちらも多人数で、ぐわーっと盛り上げてくれるものでした。ロスコーのアルバムにはヴィジェイ・アイヤーが参加していて、ついにECMもアイヤーに手を伸ばしたか!という一枚です。ロスコー自身よりも、トランペットのCorey Wilkes(AECの新メンバーでもあります)とアイヤー&クレイグ・テイボーンのピアノがかなり暴れまくっていてよいです。テイボーンはMichael FormanekのECM盤にも参加していて(David Tornのアルバム以来のティム・バーンのECMでもある)、そっちも気に入ったのですが、今年はでかい編成のジャズが楽しかったので、ロスコーをあげておきます。

モチアンのトリオはクリス・ポッターとジェイソン・モランとで、非常に引き締まった硬水のような音楽。ポッターもモランも自分のリーダーバンドよりずっといいじゃんって感じで、買ってからコンスタントに聞いている一枚です(モランはマハンサッパにチャールズ・ロイドの新作にと引っ張りだこ。新作は買ってないんですが、Village VanguardでのトリオでのライヴがNPRで聴けます)。モチアンのかいかぐっていくようなドラムがよりはっきりわかるという点で、トリオは最適だろう。

<Reissue>


ECM白箱3枚セットはキースのスタンダーズだったり、チックのソロピアノだったり、いつでも店頭にある定番で、「あえて箱に入れて売りなおす必要ないですよね、アイヒャーさん?」というよくわからない企画もあるのだけど、このアーリル・アンダシェンのセットは全部初CD化であります。70年代はじめ〜半ばのECM北欧組のジャズ作品はガルバレク=ステンソン・カルテットもそうですが、後追いで聞いても新鮮なんですよねえ。

<そのほか>

  • Steve Lehman Octet / Travail, Transformation, And Flow

去年のアルバム。入手困難にでもならない限り別にいつ聞いたっていいものはいいんだけど、これは「去年出たときに真っ先に聞いておくんだったああ」と思ってしまった。やたら鋭利で腰に来るサウンドがかっこよすぎる。前述のホランドのアルバムとよく似た編成なんだけど、リーマンのオクテットに比べると、ホランドのバンドさえなんかもったりしているような気がしてしまう。

  • Mike Keneally & Beer For Dolphins / Sluggo!

ザッパ最後のスタント・ギタリスト、マイク・ケネリーの98年作。レコード会社がぶっつぶれてレア盤化したらしく、CDは高騰していたのだけれど、本人のサイトでデジタル再販。
可逆圧縮で10ドルというお値打ち価格、転売屋死亡。めでたしめでたし。
しゃべるギター(FZがヴァイにやらせたアレ)とか怒涛のリズムチェンジ炸裂曲とかもあるんだけど、凝り性のポップ芸術家体質・自作自演派。これも聞けてうれしかった。iPodロスレスで入れて聞き倒しておる。


結局買ってしまった。京都賞受賞記念のソニーブーレーズ全集、自作自演の巻。
「プリ・スロン・プリ」(1962年版、69年録音。ハリーナ・ルコムシュカ(ソプラノ)、BBC饗)が目当てだったんだけど、これまで聞いていた81年のエラート盤よりもハープとヴィブラフォンが目立っている。沈黙と楽器の音のせめぎあいがより強烈なような気がするなあ。オーケストラを聞くならほかの盤のほうがいいと思うけど、打楽器類がよりとげとげしいのはこっち。