chilican's diary

読んだ本や聞いた音楽の話をします。

Keith Jarrett / Oasis

レンタルショップなり図書館なりで借りられるアルバムというのは、バリエーションという点で見れば自分で買うより限られているので、ジャズ目当てだとそれほど収穫がないのだが、それでもたまに珍しいものや、聞きたいものがあったりする。クラシックはまあ、近現代の作曲家になるとそれこそ大学とかじゃないとないのだが、グールドのバッハや、デュプレのアルバム、モーツァルト、ベトベン、マーラーグレゴリオ聖歌あたりだと、結構市町村の図書館にもありますね。レンタルショップのクラシックコーナーはまず期待するだけ無駄ですけど。

基本的にキース・ジャレットに関しては買って聞くことが多いのですが、ヨーロピアン・カルテットとかビロンギング・カルテットとか言われてる、ヤン・ガルバレクとのグループのライヴアルバム2つ(Nude AntsPersonal Mountains)は借りてHDDに入れたのでした。

いや、中山康樹氏の本ではヨーロピアン・カルテットのライヴはメンバー間のコミュニケーションが浅い、と書かれていて、面白くないのかな、でも気になるな、と迷った挙句の選択だったんですけどね。
結論から言えば、面白い本を書く人でも好みが一致するわけではないし、聞かずに判断するのは損だった。

いまやyoutubeでこのカルテットの動画(76年ハノーヴァーでのライヴ)が手軽に見れるので、別にスタジオ作でやった曲をそれっきり演奏してないわけでもないのがわかるのですが、ECMからのスタジオ2枚・ライヴ2枚だけだと、スタジオとライヴのレパートリーが重なっていないように見える。特にキースの代表作として取り上げられることの多いMy Songが(曲もアルバムも)非常に室内楽的にまとまっていてポップなのに対し、ライヴでは、かなり暴れまわっています。これまた対比して語られることのおおい前後して活動していたジャレットのグループ、アメリカン・カルテットのごとく呪術的でどろっとした展開の"Oasis"など、濃い味のジャズのみならず、トゥールやピンク・フロイドなど、くらーくて長い曲のロックを好む向きにも受けるんじゃないかと思うくらい(十代にその辺を聞いていたぼくが言うのだから、受けると思う)、スタジオ盤の明るさがうそのようです。だいたいにおいて、キースがピアノを一休みしてパーカッションやるときに「明るくてさわやか」で終わったためしがないのですが、そこに実はアルバート・アイラー直系のヤンやんが気合を入れてブローすると、トニー・アイオミのディストーションギター以上にノイジーで気持ちのよい曇り空が広がるわけです。しかもECMの録音のよさと、ハードロック的なスクエアなリズムとは違い、アメーバ的に動く4人のリズムはハマるとなかなか抜けられません。

この"Oasis"はどちらのアルバムにも入っているのだけれど、演奏が短い(それでも17分くらいある)Personal Mountains のほうがメリハリがついています。長いほうもトランス的に楽しいんだけどね。

その76年ハノーヴァーでの、"spiral dance"。アフロがまぶしい(/ω\)