chilican's diary

読んだ本や聞いた音楽の話をします。

Remembering Weather Report (3)

今日もミロスラフ・ヴィトウスの新作Remembering Weather Reportを聞いていたのだが、"When Dvořák Meets Miles"のタイトルに引きずられて、ヴィトウスとドヴォルザークというなら、ほとんどコントラバス協奏曲といっていいUniversal Syncopations II のほうが関連性を見出しやすいような気がするけれども*1ドヴォルザークにも手が伸びる。スラヴ舞曲(コシュラー/チェコフィル)とチェロコンチェルト(ジャクリーヌ・デュ・プレ、グローヴス/リバプール響)。

ヴィトウス在籍時WRからの連続性、というかヴィトウスが追求しているテーマのひとつなんだろうけど、管楽器とコントラバスが同じフレーズを重ねて行く中で、弦バスが下、管楽器が上だったのが、いつの間にか逆転する面白さというのがある。WRの1stにはいってる"Orange Lady"ではショーターのソプラノサックスとヴィトウスのベースでそれをやっていて、ザヴィヌルとはその辺も後に方向性がずれて行くわけだが、新作でもその手の響きの面白さが随所にある。鍵盤がいない代わりに、トランペット、テナーサックス、バスクラの三管にすることでコントラバスが上にいってもアンサンブルの厚みがそこなわれていない。70年代末から80年代のカルテットで、マルチリード奏者ジョン・サーマン(ss、bs、bcl)と組んでいたのも、コントラバスとのブレンドやアンサンブル全体の構成を考えてのことだったんだろうな。ソロの旋律も美しいが、アンサンブルの響きもヴィトウスの魅力だ。

*このアルバムについての前記事→
Miroslav Vitous Group / Remembering Weather Report
トリビュートなのか?ヴィトウス新譜(2)

*1:クラシック方面の批評があまりないのは、ジャンル意識と、US2でのオーケストラがサンプリングだからだろう。ヴィトウス自身の製作したチェコ・フィルの音源なんだから、隅から隅まで作曲者の意図の下にあるといっていいはずなのだが。