chilican's diary

読んだ本や聞いた音楽の話をします。

Miroslav Vitous Group / Remembering Weather Report


Miroslav Vitous Group w/ Michel Portal / Remembering Weather Report (2009, ECM 2073)

  1. Variations On W. Shorter
  2. Variations On Lonely Woman
  3. Semina
  4. Surfing With Michel
  5. When Dvořák Meets Miles
  6. Blues Report

村上春樹の新作『1Q84』はまだ届かない。しかし、6月発売予定だったはずのミロスラフ・ヴィトウスの新譜 (ECM 2073)は、もう届いた。
Remembering Weather Report=ウェザー・リポート回想、なるタイトルであるにもかかわらず、鍵盤楽器がいないことがまず目を引く。前作で多用されていた、ヴィトウス自身の監修によるサンプリング・オーケストラの使用もなく、トランペット、テナーサックス、バスクラリネットの3管クィンテットになっている。WRからヴィトウスが去ったのはファンクへの志向を強めた/あるいはキャノンボール時代からの本来の志向をアップデートしたジョー・ザヴィヌルとの相違が原因だが、だからといって、鍵盤なし=ザウィヌル的な要素の排除と解釈してはならない。
おそらくWR初期において両者の共通点は、メランコリックでチルアウトするサウンドの色彩感覚*1にあった。これはそのことを実感させるアルバムだ。

そのほか、初期WRの特徴もまた、このアルバムで聞くことができる。ソロとバッキングの区別の融解と、ベースの伝統的な役割の放棄である。

ひとまず全体の概観めいた感想を記しておく。
たぶん今後もいろいろ書きたいことが出てくる気がするが、先にある程度の総論を書いておかないと、自分で混乱しちゃうから。

*1:WR始動直前のヴィトウス、ザヴィヌルの共演作であるZawinulとヴィトウスのPurpleを思い出そう。