The Red Hot Chili Peppers / Freaky Styley
リマスター再発盤について書きました。せっかくなので、かつて自サイトで公開していた感想を再掲したいと思います。
クレジットはリマスター盤準拠。注釈もつけちゃう。
The Red Hot Chili Peppers / Freaky Styley (1985)
- Jungle Man
- Hollywood (Africa) (The Meters)
- American Ghost Dance
- If You Want Me To Stay (Sylvester Stewart)
- Nevermind *
- Freaky Styley
- Blackeyed Blonde
- The Brothers Cup *
- Battleship
- Lovin' & Touchin'
- Catholic School Girls Rule
- Sex Rap **
- Thirty Dirty Birds
- Yertle The Turtle
All songs were written by Flea / Anthony Kiedis / Cliff Martinez / Jack Sherman except where noted.
* by Red Hot Chili Peppers (Anthony Kiedis / Flea / Hillel Slovak / Cliff Martinez)
** by Balzary, Kiedis, Slovak, Irons
- Anthony Kiedis – vocals
- Hillel Slovak – guitar
- Flea – bass, trumpet, backing vocals
- Cliff Martinez – drums
Additional musicians
- The Horny Horns; Fred Wesley - trombone, Maceo Parker - saxophone, Benny Cowan - trumpet
- Larry Fratangelo - percussion
- George Clinton, Steve Boyd, Andre Williams, Mike "Clip" Payne, Pat Lewis, Joel Virgel, Robert "Peanut" Johnson, Shirley Hayden, Louis "Bro" Kabbabie, Gary Shider - backing vocals
Produced by George Clinton
「ファンク界のゴッド・ファーザー」、元FUNKADELIC/PARLAMENTのジョージ・クリントン*1のプロデュースによるセカンドアルバム。 3rdアルバムTHE UPLIFT MOFO PARTY PLANや4thアルバムMOTHER'S MILKのような破天荒さはないが、「ファンクであること」 を追求した作品。
"American Ghost Dance"や"Yertle The Turtle"、そして"Hollywood(Africa)"(ファンクバンドTHE METERSのカヴァー)、"If You Want Me To Stay"(Sly And The Family Stoneのカヴァー)といったファンクナンバーは文句なしにかっこいいんだけれど、"Nevermind","Blackeyed Blonde","Catholic School Girls Rule"などの速い曲はエッジが効いていないので、いまいち。この点はクリントンのミスで、彼はRHCPのファンクネスは見事に出しているけれど、パンクな部分をつかみきれなかった*2のだと思う。
アウトテイク集OUT IN L.A.収録の"Nevermind(Demo version)"はアルバムヴァージョンの不満を晴らしてくれる、スラップ爆走ヴァージョン。OUT IN L.A.には"Sex Rap(Demo version)" も入っていて、やはりデモ*3のほうがハードな出来になっている。ぼくはアルバムヴァージョンの頭のドラムソロが好き。このドラムソロはクリフ・マルティネス会心のプレイである!タイトル曲"Freaky Styley"はSONIC YOUTHを思わせる*4フリーキー・ファンクだ。
オリジナル・ギタリストのヒレルが復帰し、*5妖気あふれるギターを弾きまくっている。ドラムのクリフも、1stアルバムとは比べ物にならないくらい、すばらしいのだ。でも、クリフのプレイはジャック・アイアンズやチャドに比べるとパワーと豪快さに欠けていて、ちょっと生真面目すぎだと思う。実際、" Jungle Man"のビデオクリップ(ライヴ映像で構成されている)で見る彼はフリーやアンソニー、ヒレルがおバカでハジけたパフォーマンスをしているのに対して、あまりにもひたむきで、職人的な印象だ。そのせいか、彼は'86年にバンドを離れている*6。また、このアルバムにはメイシオ・パーカーらP-FUNKのホーン隊(ホーニー・ホーンズ)が参加している。
*1:なぜ両グループの創始者かつリーダーなのに「元」なのか。当時訴訟によってグループの名前が使用できなかったからだ。
*2:パンクではないが、ドクター・ファンケンシュタインはワイルドな性格をちゃんととらえてる。この文を書いた当時、10年くらい前のぼくはパンクにこだわりすぎて、聞き取れてないね。リマスター版ではこれらの曲もぐっと迫力を増している。
*3:どちらもリマスター版にも入っている。『OUT IN L.A.』は秀逸なジャケットの編集盤だが、さまざまな再発や編集盤で、ここでしか聞けないものが減り、価値が目減りしている。
*4:どう考えてもファンカデリックとジミヘンとスライだろ、という突っ込みはなしの方向でお願いします(苦笑)。当時はほかに比較対象をあげておかねばという気持ちがあったようだ。なぜソニックユースが出てきたか。ファンクではないがミニマリスティックなリズムの曲が多いのと、ジム・オルークとつるんでた当時、面白いグループだったからだ。
*5:What Is This?が売れていて、プロデューサー(トッド・ラングレンらしい)ともめてなかったら、彼の復帰は遅くなっていた、あるいはなかったかもしれない。本作収録曲の大半で、2代目ギタリスト、ジャック・シャーマンが共作者としてクレジットされている。
*6:演奏はね。ブックレットでもみられるがファッションセンスは突き抜けて変な人。脱退理由もジャックの復帰を優先させたからだろう。現在は映画、舞台音楽の分野で活躍中。