chilican's diary

読んだ本や聞いた音楽の話をします。

村上春樹の新作長編小説とジョイス『ダブリナーズ』

村上春樹の新作長編の発売が決まったので、予約しときました。

1Q84』(いち・きゅー・はち・よんと読む。アイキューハチヨンと見間違いました。)。……オーウェル

もう全然新しい小説は読まなくなったので、今どういうのが流行ってるかとか、全然わかりません。
書店に行っても、立ち読みするほどの関心さえない。

今月(四月末発売分)の文庫新刊で出てた、ジョイスの『ダブリナーズ』(柳瀬尚紀訳)は買いましたけど、Dublinersはペンギンのペーパーバックを苦労しながら読んだ。もっと注釈の多いものを選んでおくべきだったなあ。どちらかというと、話が読みたいんじゃなくて、今度の柳瀬訳は注釈見たさに買ったようなものです。柳瀬訳は『チャーリーとチョコレート工場』のバートン/デップ版映画の時に出たダールの新訳を読んで、地口や言葉遊びを日本語でやり直してるのに感心はしたのですが、肝心のギャグの翻訳がおもしろくないうえに、例のうるさ型の著者解説に引いてしまった記憶がある。"winnowed"を「簸(ひ)られた」はそんな言葉知らなかったですごめんなさいというほかないが、メソジストへの悪罵は、あれはないだろうよ…とまたしても柳瀬流に引いてしまった。でも、作品全体に出ている(「イヴリン」に顕著な)どんづまり、閉塞感は痛いくらいに伝わる。

性的なテーマの扱い方とか、登場人物の心理の表象、言葉の選択に関していえば、ぼくはジョイスよりもウルフをとるけれども、そこらへんの貧乏人の生活を描かせたら、意地悪なくらいにジョイスはやっぱり、うまい。