chilican's diary

読んだ本や聞いた音楽の話をします。

John Frusciante / The Empyrean

John Frusciante / The Empyrean (2009, Record Collection [日本盤はRush! Production DDCB-12504])

ジョン・フルシャンテ久々のソロアルバム。6連続シリーズと同じRecord Collectionレーベルからの作品。

フルシャンテのソロ作品はShadows Collide with People (2004)以降、「ブラウンバニー」のサウンドトラック以外は基本的にジョッシュ・クリングホッファーとの共同作業から生まれていて、その結果、初期の生々しい、アコースティック/サイケデリック・フォークから、繊細なエレクトリックサウンドやロックバンド・サウンドに移行していった感があります。
独特の寂寥感のある歌を緻密なサウンドで聞かせるそれらのソロ作品はどれもしみじみと聞きいるによいお気に入りなんですが、やはり、圧倒的な迫力と酩酊感を伴った最初の2枚が忘れられずにいました。

はっきりと「暗い」初期作品(人によっては恐ろしいと思うかもしれないし、聞かせたところあっけにとられて、思わず笑ってしまう人もいました。あまりに気に入ってしまって、ことあるごとに周囲の人間に聞かせていたんですね、ぼくは・苦笑)とはベクトルが違って、哀しげではあるのだけれども明るさもたたえた新作ですが、オーディオ的/サウンドメイキング的な意味での迫力と酩酊感はどこか共通しているように思います。

ライナーノートや宣伝ステッカー、雑誌のインタビュー記事でジョン本人が語っているのですが、ここ数年の「コンプレッサーかけて、音量と音圧をあげる」オーディオ的処理と決別しているのがこのアルバムの大きな特徴。大音量で聞いても、耳障りになりません。フルシャンテ流、と言うべき、他に例のないギターサウンドやフレーズ、フリーのほとんどソロ楽器なベース、エレクトリックな処理やオルガン、エレピから生まれる音空間に包まれるのがとても気持ちよいです。
実は最初に聞いたとき、あまりに音を大きくしすぎて、家族にしかられました。(´・ω・`)

ピンク・フロイドキング・クリムゾンを思わせる曲、パートがあるのですが、両者の最近の(と言うか全盛期以外の)作品よりずっと「らしい」感じがするんだよね。
歌もの好きも、激しいギター好きも、エレクトロ好きも、オーディオマニアもどっかにハマルポイントがあると思います。