chilican's diary

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Enrico Rava / New York Days

Enrico Rava / New York Days (ECM 2064, 2009)

Enrico Rava (tp), Mark Turner (ts), Stefano Bollani (p), Larry Grenadier (b), Paul Motian (ds)のクインテットのうち、イタリア人のラヴァとボラーニがニューヨークに赴いて録音したから、「New York Days」だそうです。……安直。

しかし中身は安直ではなく、聞き応えのある作品だった。

ラヴァはフリージャズもやっていたけれど叙情的な演奏を得意とする人で、スティーヴ・レイシーのアルバム「森と動物園」を聞いて、当時出たばかりだったラヴァのリーダー作The Words and the Days(2007)に手を出したら、しっとりと歌い上げる演奏の方が多かったので、あっけにとられてしまったのでした。でも、それはそれで気に入って今もよく聞く。

マーク・ターナーと言うテナー奏者は初めてだな、と思ってたんですが、ジョシュア・レッドマンBeyondに顔を出していて、そこで聞いていることがわかった。……が、どんな演奏だったかまったく記憶にない。
このNew York Daysで聞く限りは、フリーもやってのけるレスター・ヤング、みたいなソフトなサウンドだ。バップ以前のテナーから大きな影響を受けてるであろうところはジョシュアくんに似てるように思います。

モチアンのもっとも有名な仕事はかのビル・エヴァンスのトリオでしょうが、そこで演奏に通じる、ふわーっとした感覚がよく出たプレイになっています。もちろん、リーダー作やキース・ジャレットのグループでおなじみのどたばたしたタムやスネアも健在。どたばたしてるんだけど、心地よいのですよモチアンは。

特に2曲ある即興曲ではモチアンとラヴァの静謐なんだけどフリー、叙情的なんだけどフリーな側面がよく出てます。
そして、そういったキャラクターはある程度ボラーニ、グレナディアとも共通している。
おそらくスタジオ録音のみの編成なんだろうけど、この顔ぶれで録音を重ねてくれないだろうか。