chilican's diary

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Carla Bley and Her Remarkable Big Band / Appearing Nightly

  • Carla Bley and Her Remarkable Big Band / Appearing Nightly (WATT 33, 2008)

カーラ・ブレイの新作は2006年に録音されたビッグバンドのライヴ盤。
ブレイの作品を追っかけている、と言うわけではなくて、ちょこちょこ買って聴いている程度のぼくでも、この人の名前は前にも見たな、という面子が多い。優れたバンドはエリントン・オーケストラしかり、固定メンバーがいても、マンネリ感よりも、優れたコンビネーションだな、と聞き手に思わせるものだけど、カーラ・ブレイバンドもそういう優れたバンドだ。

数々のスタンダードや、名演のフレーズを引用してユーモアたっぷりに聴かせるアレンジメントと、アンサンブルの滑らかな、豊かな響きはブレイのトレードマークだが、期待を裏切らない。
「マイ・フーリッシュ・ハート」、「ナイト・アンド・デイ」、「ヒアズ・ザット・レイニー・デイ」、「ステラ・バイ・スターライト」あたりはすぐわかる。ビル・エヴァンスを思わせる引用だが、エヴァンスのもつ暗さを笑い飛ばしている。

それから意外だったのがビッグバンドの編成。カーラ・ブレイの編成にはチューバやフレンチホルンといった、ジャズのビッグバンドの定型から外れた楽器をいれて、しかもそれらはなくてはならないと思わせるものが多かったのだけど、このアルバムでは、おそらくあえて、一般的な編成(持ち替えありの5サックス、4トランペット、4トロンボーンに、ピアノ、オルガン、ベース、ドラムス)になっている。このへんは、「カーラ・ブレイの定型」から逃れるためなのだろう。