chilican's diary

読んだ本や聞いた音楽の話をします。

一晩中盛り上がったら、部屋がぐちゃぐちゃになった!

という、タイトルどおりのジャケット。
内側のヒゲのおじさんはにっこり笑顔。

Frank Zappa / Over-Nite Sensation (1973)

  • Frank Zappa: guitar & vocals
  • George Duke: keyboards & synthesizer
  • Tom Fowler: bass
  • Ralph Humphrey: drums
  • Ruth Underwood: marimba, vibes & percussion
  • Sal Marquez: trumpet & vocals
  • Bruce Fowler: trombone
  • Ian Underwood: flute, clarinet, alto & tenor sax
  • Jean-Luc Ponty: violin & baritone violin
  • Kin Vassy, Ricky Lancelotti: vocals
  • Tina Turner, Debbie & Lynn (The Ikettes): backing vocals

ザッパの好きなアルバムとなると、もう考えるたびに変わるんだけど、一番好きなミュージシャンが多いのが、73〜75年のジョージ・デュークやルース・アンダーソンがいたときのマザーズであります。異同はあるのですが、『Over-Nite Sensation』のリズムセクションが中心メンバーで、この後4枚のアルバムが制作されます。

このアルバムと同時期のセッションを含むのが『Apostrophe(')』で、そっちはぼくがザッパにのめりこむきっかけになったこともあって、非常に愛着のある作品なんですが、双子の片割れであるこっちは長いことたどりつけずにいました。

この2作品はジョージ・デュークに加え、ティナ・ターナーとアイケッツが参加していることが端的に示すように、ソウル、ファンク志向の強いアルバムです。『Over-Nite Sensation』ではまだジョージ・デュークは歌っていないのが残念なんだけどね。

「Dinah-Moe Humm」なんか、歌詞はばかばかしいポルノだ。エッチな歌詞、とかセクシーだとか取り繕うことは不可能な、ただのポルノ。ぼくはセクシーな夏にぴったりのうんちゃらかんちゃら、みたいに売り込むポップス、嫌いなのね。サザンとかオレンジレンジとかみたいなやり方が。米米クラブあるいはザッパ的なきわどいのや、包み隠さないえろえろは(マーヴィン・ゲイみたいな)いいんだけど、アメリカなら、警告ステッカー貼られないように偽装したエロチシズムはどうもね……。表向きわからないようにしたからといって、詩的な表現になってるわけでもないしさ。

複雑怪奇にして、ポップな楽曲とお下品コメディな歌詞というのはザッパが生涯貫いた作風なのですが、それらの要素が一番バランスよく含まれてるのがこの時代なんじゃないかと思います。ザッパを制覇したわけではないんだけど、それなりに聴いてきて、そう思います。オリジナルマザーズやフロ&エディはやはり演奏が荒いですし、テリー・ボジオいりのバンドはあんまりR&Bっぽくない。スティーヴ・ヴァイが加わってからは複雑なコンポジション自体が前面に出た曲が多く、88年のラストバンドは、なんかテンポ早くなってない?といった感じに。それぞれ好きなんだけども、ぼくにとって一番くつろいで楽しめるのが、73〜75年なんですね。まあ、ザッパに詳しい人には、上記のバンド比較からグランド・ワズーのビッグバンドとシンクラヴィア作品が抜けてることがすぐわかるのですが、ここでは歌ものをやるロックバンドとしての視点でのみ比べてみました。

ライヴのレパートリーになった曲もこのアルバムには多い。
zappa.comで見られる「Montana」の映像とか、とっても楽しい。

どっかでモンタナ聴けるのないか、と探したらライヴ版になっちゃったけど、スタジオ版モンタナもいいよー。♪デンタルフロス〜のところの十二音音楽風旋律が好きなのです。

紙ジャケ再発したらしいですね、ザッパ。前回は一気にリリースしやがるからあんまり買えなかったんだけど、値段上がったのかorz