chilican's diary

読んだ本や聞いた音楽の話をします。

エレーヌ・グリモー『バッハ・トランスクライブド』

エレーヌ・グリモーの新譜(Bach / Hélène Grimaud, Die Deutsche Kammerphilharmonie Bremen, 2008, DG 477 6248)、届きました。
やはりブゾーニシャコンヌBwv 1004)はいいですね。うん(といいつつ、シャコンヌばっかり聴いてる)。ところで、ぼくが買ったのはEU通常盤なのですが(ほかに豪華デジパックもあるようです)、プラケースが従来のものではなく、ワンタッチで開くやつになってました。

このケース最近増えてきてますね。ぼくの手元にあるのはこれが二つ目。ジャケット裏のデザインは気に入らないけど(横向きの凸になってる)、耳のところが頑丈なのはいいです(←よくぶつけてケース割っちゃう人)。

原題が『Bach』だけってのはちょっと不親切ではないかね。
日本盤はインタビューの見出し"Bach vs. Bach Transcribed"からとって、『バッハ・トランスクライブド』になっているが、これはやっぱり「バッハ対〜」の部分がなくてはダメでしょう。

平均律クラヴィーア曲集から5曲(Bwv 847、849、875、889、878の順に)とチェンバロ協奏曲(Bwv 1052、もちろんピアノで録音)、ブゾーニBwv 1004)、リスト(Bwv 543)、ラフマニノフBwv 1006)らによる編曲版を互い違いに配置してある。それらの狙いなんかはライナーノーツのグリモー自身の小文とインタビューを読みながらつかんでいくことにしたい。全部で5ページのライナーノーツなので、それほど長くはないんだけど、ちょっとやそっとじゃつかめない。

バッハ素人からしてみると(有名な曲はもちろん聴いてるし、何枚かはCD持ってますが)、全集や通常の抜粋盤と違って、平均律クラヴィーア曲を連続して何曲も聴かされない、というのはとてもありがたいプログラムであります。24曲、前奏曲とフーガを連続でかけてると、だんだんわけわかんなくなってくるもんね(苦笑)。チャーリー・パーカーの別テイクを連続で聴いても区別がつかなくなってくるのと一緒です。

はっきりしたタッチで、曲によって表情が違っています。シャコンヌにはっきり出てますが、力強い、たたきつけるような演奏から抑制された演奏まであって、引き込まれます。最初は気づかなかったんだけど、協奏曲の指揮者が載ってないな、と思ったら、グリモーが弾き振りしてた!さて、今回もおなじみの息継ぎが聞こえます。グリモーの録音は少なくともDGでのものは全部聴いているけど、いっつもいきつぎが聞こえる。だんだん息継ぎがないと聴いてる側が物足りない、どっかの足踏みとうめき声満載のおじさんみたいになったら困るなあ(笑い)。

よつばと!風にいえば、おすすめだ!な一枚です。